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活動報告

空家改装したギャラリー

「ひと」と「ひと」をつないでいきたい プラグ合同会社 代表 吉成佳泰さん(姫路市出身)


篠山市の城下町エリアの乾新町の交差点に、1軒の古民家を改修したギャラリーがあります。平成20年にこの古民家を自分の手で改装しギャラリーをオープンしたのは吉成佳泰さん。その後、カフェを併設、平成21年には友人と合同会社を立ち上げ、活躍しておられます。30歳で起業した吉成さんに篠山の魅力についてお伺いしました。

 篠山との出会いについて教えて下さい。

平成20年に、大阪中崎町のイベントスペースでワークショップをしていました。そのとき、篠山で古民家再生の活動をしているNPO町なみ屋なみ研究所(*1)の理事長から声がかかり、「古民家を見てみようツアー」に参加しました。その時に篠山の町並みが面白く、可能性を感じました。今、お借りしている物件もそのとき見学したものです。篠山の第一印象は自然が多く古い町屋が残る風情ある町だな、と思いました。最初に案内してくださった方々の町への思いと熱心さに共感して、自分の感覚でこの場所は居心地が良いと感じました。

 その時には、もう既に篠山で出店するお気持ちがあってツアーに参加されたのですか?

そうです。神戸か別のところで出店しようと、もともと考えていました。例えば「まち」「やま」「うみ」に1店舗ずつ。ずっとひとつの土地に貼りつく人生ではなく、関わった人たちを転々と訪れたい、そんな思いで色々な土地で出店したいと思っていました。神戸の塩屋でひとつ、山にある篠山でひとつ、というような...。物件を見て、難しそうだけれどもこの建物を生かせればおもしろいイベントスペースになる、と感じました。

 物件が「難しい」、「おもしろい」というのは、具体的に?

お店の中に前の事業者さんの物品や看板がたくさん残っていました。これを撤去するのは大変だなと思いましたが、初めて古民家に接して、土間や木の質感がいいなと思いました。
お借りしている物件は、江戸時代後期の旅館跡です。昔の写真などを大家さんに見せてもらいますと、郵便局だったり,下宿宿だったり,沢山の人達と関わってきた建物なのだなと深く感じました。

 歴史ある建物を自ら改修して店舗にしておられますね。改修するときに大切にしたこと、苦労したことなどエピソードがあれば教えてください。

rim03.jpg建物に宿る独特の空気<精霊>みたいなものを一番に考慮します。できれば古材を使いたい。まず、できるだけ元の状態に戻したいと思いました。たくさん造作物がついていたので。自分ではあまり作り込まず、イベントスペースを活用する作家さんや関係者に委ねたいと思っていたのであまり触りませんでした。この物件について、江戸後期の古い建物であるとか、瓦や格子戸の話など聞きましたが、ずっと心に残ったのは篠山の「ひと」の接し方でした。空気感というか...住人の人たちの話のおもしろさに篠山のとりこになりました。篠山に来るきっかけは建物から入りましたが、その土地の「暮らし」、住んでいる「ひと」の頭の中、お気持ちに惹かれました。例えば地元の陶芸家の柴田雅章さん(*2)。柴田さんの「仕事をしている」ということと「暮らしている」ことがほぼ同じであることにとても共感しました。陶芸家というお仕事だからかもしれませんが、仕事も暮らしも丁寧にしたい、そのことでよい作品ができていく、というお考え。それは理想で難しいかもしれないけれど、僕も生活を大切にすることで良い仕事ができる、そんな風になりたいです。お店に来てくださった方にどんなふうに「篠山」を伝えたいか、どんな人と篠山で仕事をしていきたいか。「生活を丁寧に、仕事を丁寧に」。そのことを自分の感覚に取り入れて今後も活動してきたいです。

 吉成さんが代表を務めておられる「プラグ合同会社」は、篠山でどのようなお店(お仕事)をしているのか、教えてください。

具体的には、篠山の観光事業に携わっております。また日用品・地場産品の卸・販売、空き古民家への定住者・事業者の誘致活動なども従事させていただいております。理念的なことで申しますと、「ひと」と「ひと」をつないでいく仕事です。例えば「いい野菜を扱ったら楽しいのに」そういう人がいたらマルシェを企画してみる、「何か作りたい」という作家さんがいたらその人の想いがつながりやすい人を探して紹介する。橋渡し役ですかね。

 他にも「暮らし」をテーマにした観光ツーリズム事業の企画や、廃校活用を検討するエリアマネジメント事業の事務局、ものづくり市「ササヤマルシェ」の開催など多方面で活躍しておられますね(*3)。いま一番、時間をかけて取り組まれているお仕事は?

空き店舗対策事業の活動です。篠山でチャレンジしたい、開業したいと興味を持っている人たちのためにその環境を整えたい。事業者と物件をマッチングしたい。いま3店舗を交渉中で開業者を募っています。よそから来て、篠山に根付いていく人たちを町の人とつなぐ、その仕組みづくりをしているところです。人同士の問題なので、非常に丁寧に、長い時間を割いています。

 吉成さんの夢を教えてください。

プラグ合同会社のメンバーがそれぞれ業種を越えて独立できることが僕の夢です。例えば、メンバーの1人、中原は頑固できめ細やかながら反面ざっくりした性格で、一番の遊び好きなんです。そんな彼を遊ばせてあげたい!彼がレコード店を開きたいというので、それを応援したいです。それからもう一人の仲間の高原が、将来は夫婦でお店を持ちたいと思っているので、それも叶えてあげたいです。
僕たちがやっている地域活性化や観光事業などは仕事の幅が広く、本当に汗をかいて何とかやっていける仕事です。まずは僕たちのような存在が何人も篠山で独立していけることが、将来の若い人材のチャンスにつながると信じています。自分たちを含めて若い人が篠山に根付き、またチャレンジしていける環境を作ることが僕の今一番の夢です。

 これから「篠山暮らし」をしていこうという人にメッセージを!

rim02.jpg篠山の魅力は、「ひと」です。農業・手仕事などに携わっている方が多く,その方達の暮らし方や生活に対する考え方に深く共感します。田舎で暮らすことは、自分の生活だけでは実現しません。周囲とのコミュニティーや慣習の上で成り立つ部分もあります。不思議に思うこと、おかしいと感じることが沢山あると思います。でも、まずは周りを受け入れて理解し、経験してみてください。その先に丹波篠山という田舎だから感じられる、すこぶる気持ちのよい暮らしが皆さんの前に突如現れます。僕は今とても篠山という田舎が好きです。どう好きかと聞かれても、これは言葉では表現しにくい。敢えて言うなら「恵まれた自然環境、そこに拠点を置くおじいちゃんおばあちゃんや作り手さん、そして昔から続く伝統行事や習慣、子供たちのにぎやかな声」。こんなところからくる綿のようにやわらかな空気感に気持ちが満たされているところでしょうか。みなさんもぜひ篠山暮らしをチャレンジしてみてください。深く知れば知るほど篠山という町は皆さんを受け入れてくれます。
本当に魅力のある部分をご自身で見つけてもらい、誰にも真似のできないような素敵な暮らしを実現していただきたいなと思います。

(*1)NPO町なみ屋なみ研究所古民家再生プロジェクトブログ
(*2)陶芸家の柴田雅章さん 1948年東京生まれ。1971年中央大学卒、丹波・生田和孝氏に師事。1975年丹波篠山町(現:兵庫県篠山市)に築窯・独立。丹波焼の伝統とスリップウェアの技法を活かした独自の器づくりの取り組みは、多くの陶器愛好家から支持を集めている。(国画会会員、大阪日本民芸館理事、同展示主任)

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